大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(れ)1325号 判決

本籍

高知県幡多郡奥内村大字橘浦三一七番地

住居

別府市亀川下区一六組

光線治療業

松川三郎

大正元年八月一九日生

本籍

佐伯市上岡二七四番地

住居

大分市塩九升町番地不詳

共産党員

梅田国貞

大正一三年一月一〇日生

右に対する脅迫各被告事件について昭和二六年四月三〇日福岡高等裁判所の言渡した判決に対し各被告人の原審弁護人清源敏孝から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人等弁護人清源敏孝の上告趣意について。

第一点 労働組合法一条二項の法意は、同条一項の目的達成のためにした正当な行為についてのみ刑法二五条の適用を認めたに過ぎないのであつて、勤労者の団体交渉においてもいわゆる正当行為の範囲を逸脱し刑法所定の脅迫罪にあたる行為の行われた場合にまでその適用のあることを定めたものでないことは判例の示すとおりである(判例集三巻六号七七二頁大法廷判決)。そして、原判決が脅迫罪を認めたことは首肯し得るところであるから、論旨は理由がない。

第二点 前述のごとく原判決が脅迫罪を認めたことは首肯し得るところであるから、所論のごとき違法はない。また審理不尽のごとき単なる法令違反の主張は、刑訴四〇五条に定める上告理由に当らないのである。論旨は、それ故採るを得ない。また本件においては同四一一条を適用すべき事由ありとも認め難い。

よつて刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条により裁判官全員一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 齊藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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